くるまれて
石田とわ


      


         あかるいあかるい夜でした
         そっとまぶたを閉じて横たわり
         窓から手をさしのべる
         やさしいやさしいひかりに
         すべてをくるまれたのでした
         たくさん泣いたあの日のことや
         ちいさなしあわせに笑った日のこと
         そして涙すらでなかった夜のことも
         みんなみんな溶けていったのです
         とくとくとくと心の臓だけが
         脈打つ音が聴こえてきたのです
         ただそれだけのことでしたが
         なにもなくたったひとりの夜でしたが
         大切にしたいものが何かを知りました
         それはそれはしあわせな
         一夜だったのです









            






             


自由詩 くるまれて Copyright 石田とわ 2012-05-07 23:41:16
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