毒の香水
ただのみきや

目覚め 
悪意が芽生える その刹那

化粧 
七色の砂嵐は旅人の死を覆い隠す 

時は
ナイフのように刻みまた削る 皺を 記憶を
残された心拍数を

図書館で
昼過ぎまで文字たちとかくれんぼ
彼らは無垢ゆえに残酷だ

笑う
潜水夫が死の間際に見上げる微かな光のように

ねつ造された
白く数字を書き込む日常 もはや外せない
美しきペルソナ

あなたは
雨に打たれる細い白樺 その歌を鳥たちがついばむ

翡翠
得体の知れない魔物の瞳 池の底に沈めた記憶

詩を書く
この世界とこの心とが入れ替わるなら
どちらが地獄だろう

終わり
昼と夜が互いに脱がせ合う 螺旋階段からの飛翔
そして

始まり/まだ なにも無い


自由詩 毒の香水 Copyright ただのみきや 2012-05-06 01:00:48
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