海への道
ふるる

海への道を進む

枯れ枝の軌跡を追う
その感動的なフレーズが生まれたのは偶然

はるかと名づけられた子供が
遠くを見ている
一生その名に囚われ続ける
その名から出ることはできない

詩集や詩誌の並んだ本棚に
誰も目を向けない
聖域に草木が茂り
雨も降る
知られずに

詩人を気取る兄の言葉は
いかんせん論理的
マンデリシュタームの墓に
ひざまづきたいと
靴を買いに行く

存在の(ナナカマド)ことについて
兄は語っていたけれど
わたしには理(シラカシ)解できない

兄の履いていた古い靴に
白い木の芽が生えて
明日は六月一日

今日は五月四日
眼前に広がる海を眺めながら
自分の子の名は鋭く尖ったものがいい
はるかがつぶやく






自由詩 海への道 Copyright ふるる 2012-05-05 01:34:51
notebook Home 戻る  過去 未来