フォーク・ソング
ホロウ・シカエルボク





きみの手を引いて
日がしずむ方へと川べりを下っていくんだ
すごいだろ
すてきだろ
たえまないせせらぎが聞こえて
ずっと向うのカーブから
潮のかおりを連れた風が吹いてくる
ぼくたちはハミングをしながら
つないだ手を振りながら
ティンパニのようにリズムをそろえて歩く
あたりにばら撒かれた温度からは
かすかに
夏のにおいがする


ピーター・ポール・アンド・マリーと
ボブ・ディランをうろ覚えの旋律で
あしもとの雑草が
ブラシ・プレイするドラム
日が暮れるころには海につくよ
そしたらふたりだけで
フォーク・ソングしよう
ぼくらのアルペジオは
かたっぱしから
波に
さらわれていくだろう
でもいいのさ
でも
それでいいんだ


きみがスニーカーのつまさきでひっかけたアルメリア
四分音符で転がって
河原のはしで生花さ
かなしいことかもしれない
それはかなしいことかも
だけどいまだけは
茶目っ気と呼んでおこうじゃないか


ぼくらの影は背中に伸びる
明日のことなんか









考える必要はまだない






自由詩 フォーク・ソング Copyright ホロウ・シカエルボク 2012-05-04 22:29:11
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