ウォーター、追憶する
ayano

 無数の車が海になだれ込んでいた
 カプチーノの氾濫
 暴走した都会
 エス、ケープとカレーション


・涅槃・・


ちりちりと水位が増す
いつか髪は乾かないときがきて
それで、頭痛がひどくなってくる

メタルを飲み込む水に足を浸していた
根づくことに日々疼き

 生活ってなんだろう
 まず、アクセルが踏めなくなって
 つぎに手首がふるふるして
 ううう、
   足を浮かすことなのかな


逃げよう、ぼやけた観覧車など沈めておけばいい
だめだ、足が動かない
にが、
ゴポ



――ししししら、しらずに落ちていくこと
釣られて いと あまいみずを汲んで ほ
しい 白くなったら食べごろ みかく の
プライスレス みず かがみ 舐める け


・・水泡・帰す

走るがゆえの代償、駆け下りた階段はその
瞬間に消え、舌の針や喉の鏡が痛む

・・・

じゃんけんで今日の運転手を決める
地図はきみに預けとく

 虫の這った植物を着ている
 足組み、ふくらはぎの熱

温室を纏う身体(欠陥がひとつ)女はしっかりと意識を保ち、腹
のなかに子宮を(ふたつ)、極めて献身的に(みっつ)(よっつ)

砂時計を返せば吐き出される生命

朝が来るスイッチ
ほっぺの裏側にキス





自由詩 ウォーター、追憶する Copyright ayano 2012-05-04 21:42:23
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