時雨
こしごえ




本日は、亡くなったあなた様の誕生日である
(果して何のための希望か

仄暗い空のもとをひっそりと
いきをする私の影は
ただのひとつの影となり、
青果しじょうに
実ってほどない果実
行ったり来たりしている
故に今だ)。今の積み重ねが、今になる
引くも足すも連なって
零さえ重なる
雨音はゆったりと
波立つ

すべてが静止する時
その時。出あうすべてが
雨に打たれて濡れる
レモンのといき立ち通す
宙を切る雨かけがえの無い

思い出す終点を
読み上げるすべてを聴く耳は私によりそうが
いつまでも私は独りきり。それから
あなた様の誕生日を祝う
あの日生まれたあなた様がひとすじ
ひとすじひとすじと影をおとす
この影に

無数の線を奏でる影同志
黙礼を交わす本日
再び生まれる初めての命は、
自然的役割というその魂である
天分を宿している
融合した遺伝子の誕生曲が響く
多次元に灯る澄み切った単音を合唱する。
、あるつかのまに、
雲間からひとすじ
光が見つめている















自由詩 時雨 Copyright こしごえ 2012-05-02 08:21:03
notebook Home