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しもつき七


はりめぐらされた毛細血管をつたい、光の情報になって、
会いにくる恋人と抱き合う。瞳の都市、解読不能の地図
のなか、だれにも秘密の場所に隠れるから、いいってい
うまでぎゅっとしていて。ふたつの目。3、2、1と0。


もういいよ。



ひとつひとつの鼓動に時計じかけは潜んでいる。あらか
じめ限られた範囲で、愛したりしてメトロノームを狂わ
せ、花とかに見とれて遅刻する人々の上空。これらの日
々は球体で、毎分毎秒、飽きることなく自転している。
だんだんとまわるのがゆっくりになっていって、
ゴトン!
と落ちてきたそのとき、いのちはTHE・ENDという
マークをもらって、強制終了かけられてしまうんだって、



だからもう、さがしあてて。可能なら、シャットダウン
ぎりぎりまでに。反射、そして屈折して、伝わったもの
だけにくちづけを。わたしたちは互いに、瞳のスクリー
ンいっぱいに映し合った、印象として生きているんだっ
てこと。



いつだってこれが最後のような気持ちがしてる。時限爆
弾が歯を鳴らしてわたしを抱きしめる。きみの脳裏に打
ち出された文字の発音記号、わからなくてエラー。ディ
スクの読み込みに何度も失敗する。



思い出に質量はないけど、思い出すことがエネルギーに
なった。記憶という領域に、きみが書いたものを見る視
力は0だけど、裸眼なら1.0。時間すら不可視じゃな
いのに、大事なことが目に見えないのはどうして?
ヒントはここに。



言いたいことのすべて
bitのひと粒ずつに集約して
もとあった意味をなくすことが始まり


パスワードを解いて、たった四桁の暗証番号を入力して、
わたしはここにいるよ、きみのネットワークのなか。は
りめぐらされたケーブルを除けて、光よりはやく、冷凍
保存のカプセルを開けたら、特定して ****
再会しよう_


自由詩 1,2,3d-display Copyright しもつき七 2012-05-01 22:00:15
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