マトリョーシカ
faik

ねえ、マトリョーシカ
この世の何処を探したって
貴方ほど馬鹿げた男はいないわ

根っから明るい人間なんて
そんなの、沢山居るほうがおかしいのに
誰かみたいにと躍起になって
自分らしさを台無しにして

本当に、馬鹿ね
じれったくって見てられない
貴方は貴方 そのままで
十分魅力的だったじゃない
どうしてそんなことをしたの
どうしてそんな馬鹿なこと

だからね、マトリョーシカ
今、私以上に貴方のこと
ぶっ壊したいって思ってる人 きっと居ないわ
怖いなんて言わないでよ
今更、何言ってくれてんの
私がまともなラブソングを
歌うような女に見えた?
私が清楚で貞淑な
そんなふざけた女に見えたの?

私の可愛いマトリョーシカ
世界のどこを掻き分けたって
貴方の居場所はここだけよ
貴方ほど私を掻き乱した人
今まで、一度も居なかったんだから
貴方は私の、運命の人
だから私も、そう、きっと。

さあ、おいで。
ほら、早く。

傷付いて、苦しんで、悔やんで
私の言葉に苛んで
妬んで、僻んで、嫉んで、蝕んで
そうして少しずつ、
私を貴方の原色[いろ]で満たして
愛してるって言ってよ、ねえ。

私の可愛い、マトリョーシカ
あの日の綺麗な、マトリョーシカ。


自由詩 マトリョーシカ Copyright faik 2012-05-01 21:16:00
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