つめたいジャム
吉岡ペペロ

あのひとのうちで食べた朝メシは

こんがり焼かれたトーストだった

自分ちとはちがうパン

自分ちとはちがうマーガリン

ジャムもちがった

そのなにもかもに違和感を感じて

ずいぶん遠くに今いるんだなと思った

楽しくなかった

学校に行かなくてはならない

あのひとも仕事に行くはずだ

そういえばジャムがつめたかった

ふたを開けるとマーガリンの線が混じっていた

シミを取り除くような気持ちで

カリカリと音立てて

こんがり焼かれたトーストにジャムをこすりつけた

さきに塗ったマーガリンが滑るだけで

ジャムはなかなかトーストになじまなかった







自由詩 つめたいジャム Copyright 吉岡ペペロ 2012-05-01 03:44:51
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