ウワバミの中の象
そらの珊瑚
ゆるゆると解凍されて泳ぎ出す初夏のひざしに冷凍金魚
てのひらに埋め込まれた鉛筆の種 いつまで待っても芽が出ませんが
捨てました古い日記も捨てましたあとかたもなくみじん切りして
虎猫と眺める空にやる気ないメザシのようなこいのぼり
マジシャンの流れるような手の動き重力さえも手玉にされる
かもめ橋午前零時に猫たちの集会ありますご参加ください
人肌に溶けていくのはわだかまりバターソースにキャラメル添えて
満たされて膨らみきったかなしみを抱えて笑う古い掃除機
アボカドにくるぶしのような種ひとつ ふたつそろえば人間になる
階段をひとつとばしで駆け上がるように恋したいつかの私
散る桜ひとつひとつにメッセージNR NR No Return
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夢見る頃を過ぎても(短歌)