首男(二)
たもつ

 
 
そういうわけで
首が引っ込んだまま
ぼくは浜に出た
蟹が当たり前のように
前の方に向かって歩いていた
体の奥から見ていると
蟹はやがて視線に気付いて
慌てて横歩きを始めた
世の中の事実とは
こんな感じなのかもしれない
蟹図鑑の余白に追加するため
いま見た出来事を
十字程度に要約してみた
 
 
 


自由詩 首男(二) Copyright たもつ 2012-04-29 17:48:26
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