Black Tears
草野春心



  少年だの少女だの初恋だの
  丸みを帯びた言葉ばかり桐箱につめて
  晴れた日の草原に座りこむキミ
  ビニールシートも敷かず、地べたに
  夕方には雨が降るって聞いてなかったかい?



  シロツメクサの茂る丘にキミは登って
  長い髪が綺麗になびくその位置を探して
  カメラのシャッターが切られるのを待ってるんだろう
  でもいつになっても誰も現れやしないんだ
  夕方になって雨が降ってきても



  傾いた日が鳥の影をこぼしてゆく
  まるで何処か遠いところから届いた
  黒い涙みたいに、パラパラと
  なんとなくキミはその数を覚えてみるけれど
  本当はもっと沢山の鳥が横切ったんだよ





自由詩 Black Tears Copyright 草野春心 2012-04-29 09:51:26
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