ニンジンガスキー
灰泥軽茶

とりとめもない映像を眺めながら

皮を剥き縦に切った細長い人参を
齧る
何もつけずに齧る
美味しいかと尋ねられれば
ちょっと柿みたいで美味しいかなと言う

実際は齧る行為に動物的な快感が
前歯を通して大きな脳を
貫いているのだが
そんなこと考えて齧っている訳ではないし

最近齧りたくて齧りたくて
そこらへんに落ちている枝とか
もれなく齧れたとしたら
ずうっと齧りっぱなしだなとか

綺麗に満ち欠ける
夜の月も少し齧れるとしたら
月の王様に来る日も来る日も
月を齧ることを命じられた
兎の夫婦のように
きっと素晴らしく
心が落ち着くだろうかなと
ふと思う





自由詩 ニンジンガスキー Copyright 灰泥軽茶 2012-04-29 02:09:56
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