葉leaf


地面とじかに触れ合う春は
たった一つの落し物をした
そのたった一つの落し物が
みるみるうちに散らばっていって
こんなに豊かな花々になった
花々は凍り続ける
大気が花々を許すその日まで

人々の幻想の中に
新たな種をまいて
花々はいくつもの仕掛けの中に紛れ込む
人々は幻想の海の中で
花々を解体する
花々が人々の脚や眼になるように

花は生まれてくるときに
決して守れない約束をした
花は開くときに
誰にも届かない挨拶をした
花は光をふりまくときに
ここではない宇宙で再び生まれようとした





自由詩Copyright 葉leaf 2012-04-26 10:55:04
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