蒲公英草子
そらの珊瑚

親心を
揺らしながら
春の野に立ち尽くしている
子どもらは
既に
旅立って
再び逢うことは
叶わないというのに
心配の種はつきないのでしょう

親心を
揺らしながら
じっと耳をすませている
綿毛が
ふわりと
着地した音を
風が運んでくるのを
聞くまでは
心配の種はつきないのでしょう

そして
やっと思い出すのです
自分もかつて
親心に見送られて
旅立ってきたことを

ここは
なんて静かでしょう
大切なことだけを
謳っている
祈りが満ちて
ほのあたたかい









自由詩 蒲公英草子 Copyright そらの珊瑚 2012-04-26 08:22:27
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