鳴り止まない光のあぶくが頬を擽る
マーブル


線香花火の煙の匂いと
遠く遠くで垂直に昇れば
散らばって消える花火音は
静まり返る部屋で眠ってた私を
呼び覚まそうとするから


林檎色のワンピースを着て
底の低いミュールを焦りながら
カランカランと鳴らし外を見回す



そこには
パチパチと手を叩いている少女と
微笑ましい表情をしている家族達が
道路の隅っこで輪を作っていて
光の宴は空気中を描いていた
霞んだ目は思わず溶けてゆく
眩しいくらいキラキラしていて
悪戯に泣きそうになる



夜風をカラダに編んで
悲しいことも
嬉しいことも
人それぞれの言葉が
胸の底から喉を潜り
空に散らばった


きっと
水面ぎりぎりまで
黙っていたのは私だけ
そんな私の尾びれは
千切れ千切れのまま
願い事を唱えるのに必死だったから


枝分かれの道を
寄り道して
そうすれば何処からか聞こえてくる
覚束ない蝉の赤ちゃんの
ひたすら擦り続ける
あぶなっかしい羽音が
少し私に似てるって思って
口笛吹いて応援してみたの



僅かなときめきを
ささやかに感じれば
私はこうしていつもどおりだ
今宵ものぼせた月と二人だけど
可笑しな話を話せそうさ







自由詩 鳴り止まない光のあぶくが頬を擽る Copyright マーブル 2012-04-26 05:36:44
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