春雨の夜
藤鈴呼


細かな霧霞 
揺れる 山並みに 残雪

未だ 冬に 片足 
突っ込んだ ばかりだから

此れは 残雪ではなくて 
秋の 深まり

春雨を 思い出せる 
そんな季節

土鍋も 欲しいけれど

陶器を どんな風に 
優しく 扱えば 良いのか

指先の しなり具合を 
確かめてからでなければ

スーパーへは 行けないの

この時節 何処でだって 買えるのだから
ホームセンターでも 良いのだけれど

透明な マロニーちゃんは
一度も 出会ったことが ない

中華風味に 味付けられた 春雨は
一度に すすりたい

ラーメンが 美味しい 季節だから
蓮華に入れた ゆで卵の 鮮やかさを

思い出しながら
スープを 一口 運ぶ

唇に 火傷 しないでネ
注意する 暇もなく
一気に 飲めば

嗚呼 やはり
二時間 経った 今でも
喉が 妬けるように 熱いのでしょう

春雨の カーテンの向日
海の セセラギ 見えた

山の途中には 
鮭の 遡上箇所

コンクリートに 覆われて
お堅い存在です なんて
嘆かないで 下さい

彼等が 泳ぎ易い様に
角度は 抑えて 居るのです

きっと 理性と 一緒で
海と 友に

流される訳には
行かないのですから

★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・°


自由詩 春雨の夜 Copyright 藤鈴呼 2012-04-22 01:06:18
notebook Home 戻る