若菜
つむ

君のために雨のなか
スーパーへ水菜を買いに行った
料理用の鋏を入れて
細い翡翠色のくきも緑の葉も
みんなガラス容器にあけて
たったそれだけのサラダ
台所には オリーブオイルしか
ないよ

眠っていた君が起きだして
二人向き合って食べる
塩味だけの今夜のサラダ
君はチャンネルを一通りまわしたあと
雨粒にぬれた僕の袖を見て
黙って風呂を沸かしに行く

入浴を済ませた僕らはやっぱり無言で
確かなぬくもりだけを抱いて眠るだろう
冷蔵庫には残りの水菜があって
流しの下には オリーブオイルしか
ないよ
今度フレンチでも食べに行こうかと呟いたら
君は寝言で いらないと言った


自由詩 若菜 Copyright つむ 2012-04-17 19:11:55
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