自動再生可能装置
アラガイs


揺れながら
曖昧な記憶

鞄の中にもないのでポケットに手を入れる
鉛筆を落としたらしい
グチュリと音が響く
電車のなかで落花生を踏みつぶしてしまった
席が二つ空いていた
酒臭いおやじが隣に座り込む
(もう一度 やり直し )
席が通勤者で埋まる
即座に降り返しトイレに向かう
一旦停止線に戻り再び歩きだす
ちょこっとうんちが付いていた
便座の底から目を反らす
前を開いて立ち小便で我慢する
あの男はなんで男の前で裸になったのだろう…
薄笑いに、などと、考えながら
改札口を抜ける
駅前の自動販売機
微糖に二百円ほど投げ入れたのか
前屈みでおつりをとる
入り口で見た年増のOLを
じっと見やる
熱い、出口から不審気な様子に彼女の足が向きを変えた
躓かないように、バランスを取りながら
また、急ぎ足で何処に行き着くことになるのやら
缶コーヒーを握りしめていた手
一緒にボックスに放り投げようとして、
、重要な書類なのだと気づいて鞄を拾う
、サラリーマンたちの脇をすれ違いながら
、ひたすら歩くこと
、、、疲れた、、
西の出入り口で立ち止まる
小銭入れをしまいタバコに火をつける
自動販売機
駅前ボックスには空き缶の山
もう寄り道はしない
天気雨がぽつり、、額を濡らす
息を大きく吸い込んだ
晴れわたる空はこれ程までに眩しく
玄関の扉を開けると
鉛筆が、
、転がって落ちてきた 。











自由詩 自動再生可能装置 Copyright アラガイs 2012-04-17 11:42:41
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