口づけ
HAL

静かにあなたを愛していたい
決してはげしくじゃなく
そっとあなたを愛していきたい

愛に力などをこめずに
ぼくはあなたを抱きしめたい

そのときあなたの好きな
ディオリッシモの香りにぼくがつつまれたら
ぼくは幸せというものをきっと信じると想います

そしてあなたのあごを少し上向けて
そのときあなたが眼を閉じたなら

ぼくは大切なものをこわさないように
あなたの柔らかなくちびるに
ぼくはくちびるをかさねます

それはきっと触れるか触れないかの
とてもみじかい口づけでしょうけど
あなたのくちびるの柔らかさを
ぼくのくちびるはいつまでも忘れないと想います

そしてやさしくとてもやさしく
あなたをそっと抱きしめたなら
そのときぼくは気づくでしょう

折れそうにも想えた
あなたのかぼそいからだのなかに
きちんとしたぼくへのこころがあることを

いつもそんなふうに
どんなときでも静かにおだやかに
ぼくはあなたを愛しつづけていきたい

それがぼくの愛の彼岸だとわかっていても
ぼくはあなたを静かに愛しつづることを
やめることはできないと想います


自由詩 口づけ Copyright HAL 2012-04-16 03:45:26
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