口づけ
HAL
静かにあなたを愛していたい
決してはげしくじゃなく
そっとあなたを愛していきたい
愛に力などをこめずに
ぼくはあなたを抱きしめたい
そのときあなたの好きな
ディオリッシモの香りにぼくがつつまれたら
ぼくは幸せというものをきっと信じると想います
そしてあなたのあごを少し上向けて
そのときあなたが眼を閉じたなら
ぼくは大切なものをこわさないように
あなたの柔らかなくちびるに
ぼくはくちびるをかさねます
それはきっと触れるか触れないかの
とてもみじかい口づけでしょうけど
あなたのくちびるの柔らかさを
ぼくのくちびるはいつまでも忘れないと想います
そしてやさしくとてもやさしく
あなたをそっと抱きしめたなら
そのときぼくは気づくでしょう
折れそうにも想えた
あなたのかぼそいからだのなかに
きちんとしたぼくへのこころがあることを
いつもそんなふうに
どんなときでも静かにおだやかに
ぼくはあなたを愛しつづけていきたい
それがぼくの愛の彼岸だとわかっていても
ぼくはあなたを静かに愛しつづることを
やめることはできないと想います