貴蝶(きちょう)
朝焼彩茜色
貴蝶。あたしを、肌色の二足歩行なんて呼ばないで
貴蝶。大胡麻斑蝶は、黄金の蝶よね。貴蝶
貴蝶。浅葱斑蝶は、空と海を担う蝶よね。貴蝶
貴蝶。高貴な羽根の粉は、ティンカーベルからの贈りものなの?
貴蝶。だから、ゆるやかに舞い流れてゆくの?貴蝶の夏だけの人生のように
貴蝶。お願いだから、道路は渡らないで
貴蝶。紅の華の中をマンタのように潜りぬける
美しい夕日に映える、その姿
肌色の二足歩行より、存在感が目立つ
貴蝶。うっとりする、艶が弾き溢れる
瞳に入れたいくらい
あたしの瞬きと、はためかせる羽根の音だけリンクする
貴蝶。それだけでも嬉しくて、涙が、肌色の二足歩行の心に、にじんでゆくわ
空と海を担う黄金の一滴
貴蝶。お願いだから、小学生の網には気をつけて
貴蝶。美しい生きもの、愛してるわ
貴蝶。いつか、肌色の二足歩行を乗せて
飛び廻って
連れていって
美しい世界へ
貴蝶。あたしは、ただの揚羽蝶なんて呼ばないわ
貴蝶。だから、肌色の二足歩行なんて呼ばないで
貴蝶。美しい感動を、この夏もありがとう
いつか、あたしを乗せて
飛び廻って
連れていって
まだまだ、美しい景色の心が溢れている
この世界を