いっしょに歩こう
かんな

何も浮かばない
雲も
どこかへ流されたようで
わたしは
ひとり影をおくる

ことばを
知らないから
と屈託なくわらう
君のあいさつは不器用なほど
まぶしい

出会った海辺を
振り返ることがあるね
追憶の
片隅に色濃く
のこったやわらかなかんしょく

いんしょうを放り投げて
海面を三段跳び
そうして
恋に落ちた
私も君も何者でもないから

君の手のひらに
ちいさな宇宙が広がる
はじまりは
いつも
繋ぐことから

風に吹かれて
葉が宙を舞うと
げんざいは回転するように
時を
静かに刻む

流されるたいおんの
隅々までのぞく
君の視線は
なまめかしく鋭い
溶けてしまいそうに

しあわせになりたい
全身で叫んでいた
あの頃を
思い出して
語尾を飲み込む

深呼吸して
吐き出したあいしてる
伝播する
すべてがいとおしいと
教えてくれたひと

しあわせになろう
全身で抱きしめ合った
今を
覚えていよう
この瞬間を




自由詩 いっしょに歩こう Copyright かんな 2012-04-14 21:32:32
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