花に焦がれた欝病患者
愛心

僕は人間が嫌いだ。
生きている人間が嫌いだ。

欲に塗れ
私利私欲で同種を傷つけ
言葉を軽視し
自己を一番重要視し
生を厭う一方で死を嘆き
獣や自然の命を喰らって
己らの幸福を積み上げる

言葉を知らぬ無知な者
周りの悲鳴は聴こえぬ

此処まで浅ましい生き物が
大嫌いだ。

何故僕は人間なのだ。

僕は桜になりたいのだ。

人の死体を喰って
鮮やかに咲き誇る
気高い花になりたいのだ。

長生きなど要らない。

白い心の臓の形をした花弁を
穢い血で美しく染め上げて

なんていとおしい、その姿。

噎せ返るその色に
僕が遣われる、幸福

嗚呼、嗚呼、嗚呼
僕を喰らってくれないか

人間なんて嫌いだ。
簡単に死ねぬ体が憎い。
感情を持つ心が痛い。

嗚呼、美しいひと。
僕を愛してくれないか。


自由詩 花に焦がれた欝病患者 Copyright 愛心 2012-04-14 17:08:07
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