不読の秋
浩一

この頃は本は読まない
特別の主義や信念があってのはなしではなくて
ただソノキニナラナイ
ただそれだけ
それだけのはなし

残ったものは少しのエッセンス
と その他は全部ナンセンス

なんて

戯れの韻を踏んだりしても

あの頃の友達の声と
あの頃のあの娘の瞳は
もう二度とかえってこない

<学んだことはすべて
ありふれた理由で砕けて散った>

なんて

ありふれた感傷に耽っていたら
むかしの大学教授から
よく分からない
長い手紙が届いた

「リビドーの衰退とともに
知的好奇心も減退する」

分かるひとには分かるだろうが
それはまったくの真実だったので

礼儀としての返事は出さずにおいた
特別の主義や信念があってのはなしではなくて
ただソノキニナラナイ
ただそれだけ
それだけのはなし


自由詩 不読の秋 Copyright 浩一 2012-04-14 00:01:19
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