背徳の朝
mm


今朝、

わたしが見たのは空へ跳ぶ夢

空はたしか温(ぬる)い灰色だった

風はきっと水の気配がした

見慣れた町のコンクリを蹴って

ふわり

跳ねる、跳ねる、跳ねる

段々高く跳んでゆくの

たかくたかく、もっとたかく

戻ってこれなくなりそうだったけど

止めるには惜しい優しい快感が

まるでセックスみたいに

スッゴく、キモチ悦くって



『快楽夢』

ふと隣の少年がつぶやく

それは良いことだろうか、

悪いことだろうか

夢で快楽をえるのは

イケナイことなんだろうか

現実では当たり前のことが

夢ではまるでタブーみたいに

でも可笑(おか)しい

夢には禁忌なんてない

だって、夢は存在しないのだ

想像力は唯一の自由で

人間最後の不可侵領域

なら、どうして跳んではいけないの

なぜ、なぜ、なぜ

わからない

もっと跳んでいたい

もっともっと、もっとたかく

戻れなくたってかまわない

だってほら、こんなに跳べるの

こんなにたかく跳べるの

誰も知らないあの空を

越えられるかもしれないの―――





でも

気づけばわたしは跳ぶのをやめて

布団の中で恋人のように目を覚ました



ふと思うのは

もしかすると、それでよかった

まだ、時ではなかったと




もしかすると




もしかすると


あの空の向こうは


開けてはならない


パンドラの匣?





自由詩 背徳の朝 Copyright mm 2012-04-11 13:48:55
notebook Home