無限上昇のカノン

満開の桜並木は異空間の美しさ
何故、永遠にこの時が続かないのだろう

散るから美しい
誰もが言う言葉
この桜色の空間の中では
無意味に聞こえる


墓参りをする人の横では
花見を楽しむ家族連れ
ここに眠る魂は
毎年、この桜を眺めているのか
死者に手向けられた桜の花か

誰も来ない荒れ果てた墓の下で
忘れられた魂は桜に何を思うのか


満開の桜の下で
散り行く季節を思う
時は止まり、永遠の中で
いつまでも桜を眺めていたいのに

残酷なまでの速さで
流れていく時間
明日には散って忘れ去られる


それでも、桜並木はそこに存在している
花が散っても
緑が枯れても
桜色の空間をほんのひと時作り出すために

散るなという願いも空しく
散っていくのに




自由詩Copyright 無限上昇のカノン 2012-04-10 22:27:44
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