憑依
salco
丑二ツ
闇底の寝屋
戸板の合わせ目の
線なす月影に蒼く透け
枕辺にうずくまるおんな
痩せさらばえ
ざんばらと髷ほどけ
何処から入り来たやら
長い鉤爪震わせて
寝入る頭骨に額つけ
中の夢見を食っている
寂寥の景色の委細
満ち足りた赤子の安気
そよめく抒情を音もなく
ねりねり齧る
もぐら眼亡者
持たざる者の哀しい憧れを
きっと許しておくれだろうね
儂とて夢を視たいのよ
取るにも足らぬ卑しい業よと
看過ごしておくれだろうね
儂とてありてみたいのよ
夢見の地所を盗み食う
それで胸の洞を充たし
剽窃泪に酔うと云う