骨抜きの波
動坂昇
反りかえる女の
虹を
抱きとめられず
壁の向こうに流れる水を聞いている
恥骨の痛みはもう
ない
あの日も笑い転げていた
河原に無数にある小石を理由なく選んで
脊椎の抜けるように
遠くへ遠くへ押し流していく
秋には北米に到達するという
いっそう弧を描いて けれども
交りあうことなく
確かに
あった
ということが
さきほどまでは痛かった
囲んでいたはずの円だけが残っている
いまはもう
ない
自由詩
骨抜きの波
Copyright
動坂昇
2012-04-08 20:33:49
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