桃始笑
やや

するすると滑る皮下にはとくとくと
詰まる水気の多い蜜の脈

悩むのを止める良くはならない違いなど
生まれた幹が違うのだから

寝た後に晴れる身なら良かったの
開いたまぶたに映る霧

仄明るい曇りの道を歩いてく
見えずとも香りをたよりに

桃の香は年月を経て熟れたような
柔かい祖母の手の甲のもの


短歌 桃始笑 Copyright やや 2012-04-05 11:07:50
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