Utatane/Nayuta

主人公はいつもの脇役に戻り

四月初旬の苦味を噛締める

午前九時 窓の外 雨音はバスドラム

僕は憂鬱を声にしてただ吹き飛ばす

色彩などとうの昔に失ったという

無色透明の夢をスケッチブックに描く

冷めたミルクティー 活字で溢れる新聞紙

昨日と同じ声が同じような朝を告げる

仏頂面で鏡の前に立ちすくむ

「はたして何回目の今日なのだろうか?」

返答考えながら片手にゴミ袋を持ち

傘を差し 機械的に演奏の中にダイブする

道を行き数十歩 ふと我に返る

自分を動かす術を忘れた


自由詩Copyright Utatane/Nayuta 2012-04-04 23:35:05
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