春休み
昏(ヤッカ)

僕以外は、みんな神様だと思っていたけど
結局神様だったのは僕の方だった。

設計図通りに僕のために作られた夜に
僕が死なないこと、僕だけが知らなかった。

あの日君は笑っていた?

笑っていた。
君以外は。

君は悲しそうな顔して
僕がつけた傷はもう治ってしまっていた。

休みの間、僕は君以外のありとあらゆるものに電話をしつづけた。
バルセロナは晴れだった。
会う人誰にも、僕はさよならを言わなかった。

空っぽになっていく部屋の概念
直列を嫌う月
死なない僕はその日、時間がなかった。
さよならを言う人を探していた。
神様じゃない君を探し回っていた。

そして、あの兵器を錆びつかせて雨は止んだ。
結局、君は見つからなかった。
もう町中は嘘で溢れてしまって
今はただ四月の温い希望だけがそこら中にありふれている。

神様じゃない僕は
言えなかったさよならを
折り紙入れにしまえればいいのにと思って
約束してない待ち合わせの日を想って
少し夜更かしをした。




自由詩 春休み Copyright 昏(ヤッカ) 2012-04-02 00:42:56
notebook Home 戻る