帰ろう
marux2

日曜になると賑わう公園
その先にある薄汚い木造の長屋
四部屋の角部屋
五号が私の部屋

不吉とされる数字を隠す部屋
五号が私の部屋

コンピューターゲームの効果音みたいな
大人の声
子供の声
風の音や車の音が
窓の外から聞こえる

春の陽気がさせました
窓を開け
世界の音に耳を傾け

子供の声は
笑い声となり
大人の声も
笑い声となり
この肌に当たる陽の光りとよく似た
春の音が耳に心地よく

つくし

不吉な部屋の扉を開ける
魔法のような言葉
太陽と少し冷たい風の中へと
私を誘う春の言霊

手の鳴る方へ歩くように
ふらりゆらりと
肌に耳に目に感じる
春の溜まり場へ

なんて事はあるはずもなく
有刺鉄線で囲まれた広場のわきに生える
一本の土筆
犬猫の糞尿を浴びているだろうそれを握り締め
家路へ

賑わう公園を横目に
私の部屋
五号に帰ろう


自由詩 帰ろう Copyright marux2 2012-04-01 16:04:32
notebook Home 戻る