猫のしっぽ
灰泥軽茶

お稲荷さんを歩いてたら

耳の千切れた猫が一匹

やぁやぁ久しぶりおやつをちょうだいなと

お前と会うのは初めてなんだがなぁと

仕方がないからリュックを下に降ろして
開けようとすると

なんだねなんだね今日のおやつはと
近づいてくれば異様なしっぽが目につく

太くて短いそのしっぽは
味噌田楽にしたらちょうどよいぐらいの
ほぼ長方形の形をしていて
猫とは全く別の意思を持ってクネクネしているので

ポトリと落ちてどこか行っちゃわないのかな

また生えてくるのかなと

いや実は前がこちらなのかなと

じいっとしっぽを見つめ

豆乳ドーナッツを二つあげて

猫と別れた





自由詩 猫のしっぽ Copyright 灰泥軽茶 2012-03-31 03:37:00
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