青22歳
中川達矢

洗面所にある鏡で
いまだにある蒙古斑を確認する
その青さが年を偽るから
入念にからだを洗う
そうしないと湯船が垢で汚れる
「湯船の湯を使って泡を流しなさい」
と教えたのは父親だが
いつも垢を湯船に残していく
それも教えなのだろう
からだを綺麗にしたはずなのに
湯船に浸かればふたたび汚れる
小さな森が湯の中でほぐれていく
さまようのが難しいほどだが
子どもの子どもが迷子になる
外では胎児ごっこした成年が
半身欲している
特に左半身が大事だと胸に手をあてる
思えば背中の青味は
羊水にいた時からあった
母親の胎内を思い出す日課
鼻からスイカが出てきたのだと
自分のからだに言い聞かせ
親の子どもでなくなることはない
その判が背中から消えるように
仕事を求める


自由詩 青22歳 Copyright 中川達矢 2012-03-30 11:54:27
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