ささくれ
HAL

映る風景はモノクローム
桜の薫りも漂うことなく

また春の一日が暮れてゆく
黄昏のなかへと溶けてゆく

誰とも逢わなかった一日が
誰とも話さなかった一日が

昨日と同じように無表情で
昨日と同じように無愛想に




いつから毎日がこうなった
それまで毎日がどうだった

それすらも憶えてはいない
何がきっかけだったのかも

手掛かりすらも手元にない
つけていた日記ももう紛失

誰に訊いても足跡ひとつも
何処を捜しても存在しない

ぼくがこの世にいた痕跡は
ささくれさえ残っていない


自由詩 ささくれ Copyright HAL 2012-03-30 06:38:39
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