そらまめ
灰泥軽茶

綺麗なきみどりいろした
耳たぶは
そらまめだった

ある日
ひょっこり芽が出てきて
日が経つにつれ
どんどん伸びて

耳の奥へ
耳の奥へ

ずうっと伸びていって
まわりの音がくぐもり
どこか遠くの異国の言葉が聴こえてきたりして
だんだん
今生活している音が聞こえてこなくなったので

思い切って
そらまめのような耳たぶを
えいっと引っこ抜くと
わっさわっさの
土からひっこ抜いた
さつま芋のような
小さなミリミリの
羊の群れがついていた

耳の奥では
牧羊犬の鳴き声が
聞こえてきたような
聞こえてこなかったような

そらまめのような耳たぶを
ふにゅふにゅ
親指と人差し指で押していくと
羊たちはメェメェ鳴きながら
少しづつ大きくなっていき

ぱすんぱすん
ぱすぱすんと

かんしゃく玉のように
連鎖的に破裂してゆき
そらまめのような耳たぶだけが残ったので
馴染ませるように耳につけていくと
元に戻ったので少し安心した












自由詩 そらまめ Copyright 灰泥軽茶 2012-03-29 02:04:40
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