レンゲ
とんぼ

昨日レンゲの花を踏みました
レンゲはわたしの足の下で
花びらを押し花みたいに広げて
首のところをぽきんと折って散りました
わたしは裸足でした
足の裏でレンゲの蓄えた冷たい水分がしゅんと染みて気持ちがよかった
時々こうして水分を取らないと枯れてしまう
枯れてしまってはいけない
わたし、いつまでも愛でられていたいのです

わがままをいくつか 聞いてもらった後で
こんなのは違うと泣いてしまう
女の子の悪口をいくつも 吐いてしまった後で
そういうんじゃないと悲しくなる
頭を撫でて大丈夫だよって言って欲しい
ぎゅっと抱きしめて大好きだよって言って欲しい
それだけなんです
それだけのことを伝えるのが
なんでこんなにややこしくて面倒なわたしを作ってしまうのか

今は気持ちが優しくなっていて
きっとあなたにも優しくできる
キュートな女の子になりたい
嫉妬も苛立ちも「あのレンゲを摘んできてくれたら許してあげる」なんて言葉に代えられるような
そんな願いを
わたし何年も何年も
何年も何年も 持ってます
そうして大人になってしまったのです


自由詩 レンゲ Copyright とんぼ 2012-03-26 15:39:47
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