冷たい指先/暖かい缶珈琲
kauzak

こんなに気温が下がった日は
手袋をしていても指先
かじかんでいる

足早に歩いていく
肩を丸めて

我が家まで
あと半分のところ
自動販売機の光がポッと点っている

コインを投入
ボタンを押しさえすれば
無機質に無表情に缶珈琲が供給される

手袋を外す
温もりがじかに伝わる
プルタブを開ける口を付ける

暖かな珈琲の香りを味わいながら
歩きだす

冷たい指先と暖かい缶珈琲は
接触した瞬間に中和されて
それでも温もりが残る


自由詩 冷たい指先/暖かい缶珈琲 Copyright kauzak 2012-03-25 23:07:07
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