stony story
寿
あなたにはどうしても言えないことがある
この先もずっと言わないでいこうと思っている
炎が消えてしまう前に
私はきっと後悔するだろう
あ
ああ
次の世界ではきっと、ってね
嵐の夜にも
少しだけ
傷が痛い
それでも
あなたには言わないんだ
鳥はいつか飛んでいくものだと
あなたはすべて知っているかのように言うけれど
落ちていくものもきっとあるのかもしれないよ
あなたが振り向かずに行ってしまう未来には
きっとたくさんの過去が
石ころみたいに転がっている
何万年も前から空を見上げている
そんな風な石ころみたいに
私は知っている
みんな、あなたを愛していたんだ
金星と木星が
あと少しの距離から月を眺めている
寂しい気持ちに知らん顔して
さよならの言葉を考えているんだね
言わなくていいのか?っていう声は
きっと夜の中の雑音なんでしょ
あなたには言えないんだよ
知らなくていいことも
この世界にはたくさんあるんだ
あなたはそのままで
美しいまま
ずっと先の未来まで
走って行ってしまえばいい