ソフトクリーム
灰泥軽茶

三角フラスコで
コポコポ
何度も抽出した液を
スポイトで一滴
ポトリと額に垂らしたら

私はぬるりと溶け出して
ぐるぐる機械から絞り出され
滑らかなソフトクリームに
生まれ変わっていく

ペロペロ舐められ
どんどん私の存在が
どんどん消えていくのがわかる
無情だな
こんな気持ちのときはどうしようもない

コーンの先っちょに逃げ隠れた
最後の私がゴミ箱で
ひそかに悦びと
もうあと少しの
存在だからと諦めながら
どこまでも空を眺めていると

カラスがひょいと
やってきてついばみ
くちばしについた
最後の一滴の私は
大空を高く高く飛び
雲に紛れて雨粒となり
ヒューイポトリと
私の頬を撫で
雨の予感を知らせ
身体に融け込み
歩きはじめる






自由詩 ソフトクリーム Copyright 灰泥軽茶 2012-03-22 02:29:05
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