動的平衡
月乃助
雪がとけはじめたので
家族に会いにいく
小径のうす紅の梅が春を さそっている
久しぶりに会う誰もが
笑顔でいるのに ほっとする
( もう 一年になるのですね )そう語りかけると 母は、
( はやいものですね )と、そんな顔をしている
ここでは、
誰もが寡黙で
時は、歩みをやめてしまう
妹は小さな時のまま
私だけが、取り残されたように老い
重さをましていくような 不自由な時のなかにいる
対の花を活け
水をそそぎ
知っているお経のひとくさりを 口にする
お線香のかおりが
なごり雪のうえ
川からの風に はこばれ
( ほんとうに・・・・・ )というのに
その先は、かき消され
私には 耳にできずにいました