動的平衡
月乃助

雪がとけはじめたので
家族に会いにいく

小径のうす紅の梅が春を さそっている


久しぶりに会う誰もが
笑顔でいるのに ほっとする

( もう 一年になるのですね )そう語りかけると 母は、
( はやいものですね )と、そんな顔をしている


ここでは、
誰もが寡黙で
時は、歩みをやめてしまう
妹は小さな時のまま 
私だけが、取り残されたように老い
重さをましていくような 不自由な時のなかにいる
 


対の花を活け
水をそそぎ
知っているお経のひとくさりを 口にする



お線香のかおりが
なごり雪のうえ
川からの風に はこばれ
( ほんとうに・・・・・ )というのに



その先は、かき消され
私には 耳にできずにいました









自由詩 動的平衡 Copyright 月乃助 2012-03-21 12:31:54
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