雲の下の日時計
まーつん

苦痛の茨が
絡まりあって
庭園の門にはびこる

旅の途中で足を休める
三月の雨雲たち
深い地の底の熾火を届ける
生垣の椿の花びら

屋敷の番犬が
黒い身体をしならせて
砂利道を巡回している

ここはいずこか
君のいない世界

日時計が
影に溺れていく

雀たちが瞬く間に
枝の上で燃え尽きる

ここはいずこか

ここは 君のいない世界

君が 歩き去った世界


自由詩 雲の下の日時計 Copyright まーつん 2012-03-18 23:20:44
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