ホットケーキ
佐伯黒子

かしこい子はすばらしいと
うたうおとなたちの心理を
わたしはすりつぶして粉に
したところにたまごを入れ
ホットケーキを作りました。
とても、あまそうな山です
つぶしてみたってなにも、
仕返しがやってこないの
。かれら、大丈夫かしら。

ちいさくそだってしまった、
わたしは、いつもいつも、
ひとに会うたびに「小さい
ね」などと云われておりま
した。それはとてもいいこ
とだと思いますだって、わ
たしの見た目がかれらの
話題になるのですから。

はちみついろの瓶のふたは
やっぱりみつからなかった
ので、あなたでしめること
にしました。これから手紙
を書いて、それをいれたら
すぐあなたを呼びます。海
へ、流そうとおもいます。

かしこい子でいたかったと
思います、たぶん、そう思
います。そうしていればきっ
と、きっとなにもわからない
ままで、きっとしあわせだっ
たはずです。ホットケーキ
はおいしいし、いまだに何
の粉でできているのかわ
からないまま、あまく、時を
過ごしたのだと思います。


自由詩 ホットケーキ Copyright 佐伯黒子 2012-03-17 17:06:24
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