ちろ
ふるる
雑種の黒い犬を飼っていた
足と耳のさきっぽが白い犬
散歩もご飯の世話もブラッシングもわたしがしてた
学校から帰ると
尻尾をふってぴょんぴょん飛びついてきて
ハッハ言いながらどこまでもついてくる
何でもいうことを聞こうとする
いとしくて
憎らしいやつ
手を後ろにしてお菓子を持っているふりをして
投げてやるふりをする
そっちの方へ少し走っていって「ないよ?」みたいな顔ですぐ戻ってくる
それが面白くてかわいくて憎らしくて
何度もやった
何度やってもだまされた
たまに骨付きお肉をあげると
庭に穴を掘って埋めて
忘れる
ばかだ
ちろの顔を両手で挟んで
「なんでそんなにばかなの?」
と真剣に聞いても
茶色い目はきょとーんとしてるだけ
もう
なんでよ?