パブロフの犬
HAL

お前は誰にでも容易く尻尾を振らない
それが臆病な心を隠すためだとしても
媚びを売る飼われた犬の真似はしない

俺は猫に匹敵するくらいの
そんなお前に敬意を払おう

例え数日何も食っていない
空腹を抱えていたとしても

差し出された餌に流し目はしても
後退りをしても近づくことはない

俺はお前の様に生きてみたいと想う
心底からお前の様になりたいと願う

でも俺は食うために嫌いな奴に
頭を下げ時には土下座までする

殴ってやろうと握り締めた拳を
片方の手で力一杯押さえつけて

投げ捨てられた小銭を拾い
俺は施しみたいな金を得る

ずっと心のなかに飼っていた狼は
俺を見限り挨拶なく去って行った

俺は自分にも言い訳ばかり
その成れの果てがこの様だ

俺はお前の様になりたい
野良犬のお前になりたい

でも俺はパブロフの犬の様に
眼の前に餌を差し出されたら

すぐ尻尾を振るだけではなく
涎させ流す糞になっちまった

吠えなくても分かるよ
お前の言いたいことは

お前は誇りを捨てず野良犬になり
俺は負け犬だってことくらいはな


自由詩 パブロフの犬 Copyright HAL 2012-03-16 01:34:17
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