あした
石瀬琳々
あしたひらくドア、そして窓雪のごとこころに積もる言葉はありや
思い出すなつかしいうた冬の日のふいに飛び立つ鳥の似すがた
赤い実を痛みを噛んだくちびるを指でなぞれば遠い夕陽を
モネの庭春を夢見るゆくりなく花びら散って雪降るあした
やさしさを待っている森人は去り時移るとも花を抱く手よ
誰もいない窓に寄りそい見つめ合う青いサーカス、雨降る時間
まなざしで追いかけてゆく日々は海波濤は光る時の船出に
また出会う淋しさもとめ鳩は啼く空もこころもくるりまわって
その頬にながれる水は春の水口移し飲むあしたに満ちる
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薊道