レッスン
草野春心



  数十キロの彼方から
  この家の扉に向かって
  一台の軽トラックが走ってくるのを
  わたしの右の瞳が
  静かに予感している



  その車は
  晴れた陽を窓に映し
  海沿いの道路を軽やかに滑っている



  未だ霜の残る
  三月の朝、
  そのように頁を切られる
  悲しみのレッスン
  わたしの心を持ち揚げる
  目には見えぬ微生物の群れ





自由詩 レッスン Copyright 草野春心 2012-03-14 10:36:32
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