てんごく
そらの珊瑚

ママの手は
てんごくのにおいがすると
五つの子が
うっとりとして
わたしの手を離さない

てんごくも
じごくも
絵本のなかに
出てきたね

てんごくに
匂いがあるなんて
知らなかった
地獄でなくて
良かったとほっとした

あの頃は
確かに
てんごくは
この手のなかにあったのかもしれない

それからずっと
同じ
はんどくりいむを
使っている
とうに
私の背を追い越していった子と
今は
手をつなぐことも
なくなったというのに

そして
てんごくの残り香を
そっと かいでみて
夜、帰途に着く


自由詩 てんごく Copyright そらの珊瑚 2012-03-14 08:07:38縦
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