三月
寿
てのひらをぱっと開いたら
ああ、なんだか少しさびしくなったみたいだ
たくさんのかわいいものや
泣けるくらいのおいしいもの
ああ、これらのものを
今でもきっと想ってるんだね
ことばのなかには光もあるけれど
それでもいちど
だまりこむのは
あたたかい春を待っているため
いち たす いち は に
AならばB
優しい手があたたかいと仮定すれば
その間にある冷たい手も
イコールで36.5度以上
その瞬間に笑えたらきっといい
こどもたちが走っていく
わたしたちが思いもつかない未来へと
ゆずり葉がゆれるみたいに
できる限りの愛を尽くして
優しいものをつくりだそう
そのために私たちはだんだん大人になっていくのだ
光をあてて
幸福ということばは
それほどまぶしいものではなく
常にあなたのそばにある
未来も明日も今日も今もこの瞬間も
またいつかね、の多生の縁
らせん階段をのぼったりおりたり
だれも神様の顔なんて覚えてないのだから
ほんとうのことは
いつもあなたの中にあるのだ
心から
心から
わたしたちは
自分に負けずに生きていくのだ