三月
寿

てのひらをぱっと開いたら

ああ、なんだか少しさびしくなったみたいだ


たくさんのかわいいものや

泣けるくらいのおいしいもの


ああ、これらのものを
今でもきっと想ってるんだね


ことばのなかには光もあるけれど

それでもいちど
だまりこむのは

あたたかい春を待っているため


いち たす いち は に

AならばB


優しい手があたたかいと仮定すれば
その間にある冷たい手も

イコールで36.5度以上


その瞬間に笑えたらきっといい



こどもたちが走っていく

わたしたちが思いもつかない未来へと


ゆずり葉がゆれるみたいに

できる限りの愛を尽くして
優しいものをつくりだそう

そのために私たちはだんだん大人になっていくのだ



光をあてて


幸福ということばは

それほどまぶしいものではなく

常にあなたのそばにある



未来も明日も今日も今もこの瞬間も


またいつかね、の多生の縁


らせん階段をのぼったりおりたり

だれも神様の顔なんて覚えてないのだから


ほんとうのことは
いつもあなたの中にあるのだ



心から

心から



わたしたちは


自分に負けずに生きていくのだ







自由詩 三月 Copyright 寿 2012-03-12 20:36:32
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