白という色について
灘 修二

人は白をみていて、白をみていない
青をみている
消えた悲しみの青を

人は白をみていて、白をみていない
赤をみている
亡くした赤子の熱病の赤を

人は白をみていて、白をみていない
緑をみている
忘れて遠ざかる過去の緑を

人は白をみていて、白をみていない
黄色をみている
断たれた一条の希望の光を

だが、白にはみえない色がある
それは黒。
黒は白の仇敵だ。
黒は逃げる間も与えず白を消す。
人は黒をみてはなにもみえない。

哀れ、グレーよ
黒の来襲で死ぬかけたグレーよ

人はグレーゾーンにいる
人は白をみていて、白にはなれない
逃げる白を追い、襲う黒から逃げていく


自由詩 白という色について Copyright 灘 修二 2012-03-12 20:06:41
notebook Home